あたしのオンナ3 親友のママを思いのまま2
- Date
- 2010/06/13/Sun 21:17
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- あたしのオンナ3 親友のママを思いのままに
岡本さつきは、進路指導室を出ると、むしゃくしゃした気分で、やりきれなかった。
とりあえず、一緒にラブホに行った、広田由香里、富沢くるみたちと、相談しなくては。彼女たちのいるところは、わかっている。
彼女たちは、いまや、問題の、といっていい、親善サッカー試合の世話係を務めた縁で、女子サッカー部の客分扱いになっている。女子サッカー部の部室で、だらだらだべっているはずだ。もちろん、当の女子サッカー部の連中は、部室を空にして、練習に汗を流している。
さつきは、どたどた、足音も荒く、女子サッカーの部室を目指した。日ごろ、男の前では科を作っているさつきが、荒々しく歩くのを見て、通りすがりの男子が目を丸くした。
ノックもせずに、部室のドアを開けると、それまでにぎやかにおしゃべりを楽しんでいた同級生たちが、いっせいに押し黙って、さつきのほうを見た。
広田由香里、富沢くるみ、それに相田真美、谷内奈津実もいる。もう一人女子サッカー部員ながら、いまは足にギブスをはめている倉田しほりも、いた。
「担任の、話って、なんだったの?」と、由香里が聞いてきた。みんなも、興味津々の顔つきでさつきを、見た。
「それがさあ、信じられない話でさあ」
さつきは、手近の壊れかけの椅子に座ると、せききって詳しい話を、した。
一言、一言しゃべるたびに、みんなは悲鳴のように、叫んだ。
「なに、それ、信じられなーい!」
「いったい、誰が、そんな写真っ!」
日ごろは、クールな谷内奈津実すら、大騒ぎした。
話が一段落すると、広田由香里が、聞いてきた。
「それで、あたしらの写真は、なかったの」
「由香里のもくるみのも、なかった。あたしと、田村っちの、だけ。なんで、ねえ、なんで」
「ちきしょー」倉田しほりは、自分の足のギブスを撫ぜながら、「その試合で、あたし、怪我しただろ。そんな日に、田村っちなんて食いまくるから、罰が当たったんだよ」
「いいから、しほりは、黙ってな。ホントに、あたしや、由香里の写真は、なかったのね」
「なかったよ」
「何で、さつきだけ、撮られてたのかな」クールな奈津実が考え込む。
「さつき、恨まれてんじゃねーの」
「黙れ、しほり。何で、あたしが、恨まれるのよ」
「いろいろ、あんじゃねえの」しほりは、ニヤニヤする。名前に似合わない、<巨漢>娘だ。「聞いてるよ、さつきにオトコ取られた話とかさあ、一回やっただけで、ポイ捨てされた男子の話とかさあ」
「黙れ、しほり」
たしかに、一回やっただけで、あまりの祖珍オトコとか、弱々しく腰を振るヤツだとか、テクのない童貞男には、おさらばした。それは、何人か、いる。しかし、それで、恨まれたら、たまらない。
「まあ、それはそれとしてさ、写真撮ったヤツに、心当たりはないん?」
「少なくとも、あたしやくるみは、一緒にいて、さつきより先にラブホに入ったんだから、違うよねっ」
「あたしは、午前中にケガして、午後は病院だしぃ」
「あたしは、しほりの付き添いで、病院にいたしぃ」と、相田真美。
四人の少女が、いっせいに、谷内奈津実を、見た。
「な、な、なんだよ。オレかよ!??」
由香里が笑った。「冗談よ」
しほりがにやりとした。「でも、こん中じゃ、奈津実、あんただけだよ。アリバイないのわさ」
「ジョ、冗談じゃねえよ。応援行かなかったからって、ヘンな仕返し、すんなよ。だいたいさ、一緒にラブホ行かなかった奴らなんて、この学校だけでも、何百人も、いんだろ」
由香里が笑いながら、「だから、冗談よ。でも、マジな話さ、あの日、奈津実は、どうしてたの。オトコとデート?」
「ああ」奈津実は顔を、真っ赤にした。
「やー、赤くなった。奥手なお前も、とうとうハメ狂ったのか、奈津実」
「黙れ、しほり。映画、見てたんだよ」
「えー、どんな映画? クッキーの映画?」
相田真美は、いま少女たちに大人気の、クッキーという愛称の美少年アイドルの大ファンだ。
「ち、ちげぇよ」
谷内奈津実は、真っ赤な顔で、びびった。
見た映画の名前は、言う訳にはいかないのだ。
女子高生なら、まず食欲が湧かない、大人向けの恋愛映画だからだ。
題名を言ったら、若い娘が、何でそんな、ババアくさい渋い映画を見る羽目になったか、その理由も追求されるに違いない。
「デートの相手」が「年上の人妻」で、「その女の趣味に合わせた」とは、絶対に、言えない。
特に、その、自分のモノにした、年上の人妻の、娘である、広田由香里には、口が裂けても、いえない。
おしゃべりな友美のことだ。由香里に「お友達と映画を見に行ったの。よかったわー」などと、思わず口をすべらしているかもしれない。
あの、おしゃべりで、あけすけな友美のことだ。あの映画、見たいなあ、と娘の由香里に話しただろうし、見た後は、こんな映画を「お友達」と見たのよー、よかったわー、と由香里に自慢して、由香里の顰蹙を買っているに違いないのだ。いかに母親のおしゃべりに無関心な由香里とはいえ、映画のタイトルくらいには、引っ掛かりを持って、記憶の底を探りかねない。
まずい。絶対に、まずい。
こんなときでも、奈津実は、由香里の母のことを思い出すと、あの、広田友美の豊満な肢体を、想った。
あの、極上の胸の双球に、むしゃぶりつきたくなって、あそこが、疼いて、さらに、顔が真っ赤になった。
「やー、真っ赤っか。映画じゃねえだろ。ハメ倒されただろ、奈津実」
「黙れ、しほり」ハメ倒したのは、あたしのほうだよ。
「あ、そういえば」岡本さつきが、「奈津実、中坊のとき、写真クラブだったろ。写真撮りまくってたよね」
「な、な、なんだよ、今度はっ」
「カメラ小僧で、結構いい写真、撮ってた。あたしのことを隠し撮りした写真、プロ並みに、撮れてた」
「ざけんなよ。おいらクラスのテクなんて、ざらにあんだろ。さつき、てめえ、オレにけんか売るつもりかっ」
まあまあ、とみんなが、取り直してくれた。
しらけて、散会になった。ふてた、奈津実は、みなを振り切って、真っ先に部室を出た。
中学のとき、谷内奈津実は、写真クラブに、入った。そのわけは、こうである。
奈津実は、男の子のカメラ小僧並みに、写真に、熱中した。
そうなると、運動会とか、修学旅行とか、宿泊学習とか、自然にクラスの写真係になった。
奈津実は、ありとあらゆる機会に、写真を撮りまくった。中学の卒業アルバムの、クラスメートのスナップは、大半が奈津実の撮った写真だったりした。写真をあたりかまわず撮りまくる奈津実の姿は、クラスメートや、その親たちにも、自然な姿となり、誰も違和感を感じないようにまで、なった。
奈津実は、その卒業アルバムとは別の、手製のアルバムを隠し持っている。
運動会や、内輪のピクニックのときなど、広田由香里を撮るふりをして、その母親を映した写真ばかりで構成された、秘蔵アルバムである。
もちろん、由香里単独や、母娘ツーショットの写真もちゃんと撮って、由香里に渡している。由香里は感謝して、自分のアルバムに、大切に張った。由香里が知らないことは、たとえば母娘ツーショットの写真を撮ってくれた奈津実が、その後すばやく二枚目を撮って、それには自分の母しか映っていないことや、母親のみを映した大量の写真が、奈津実の手に存在していることである。
みんなで海に行ったときなど、奈津実は、自分は、今日いきなり生理になったからと、自身は水に入らず、笑いながら、オレはシノヤマキシンだぜぃ、おらおら、みんな、頼むぜぇセクシーポーズでキメろよなあ、陽気にはしゃいで、みんなの写真を撮りまくった。
それらの写真は現像されて、みんなにわたり、みんなの思い出となった。
もちろん、ふつうのアングルから撮った広田友美の、ふつうの写真は、由香里に渡した。渡しながら、そのころころした母親の豊満な写真を見て、二人の少女は、笑い転げた。
同時に、誰にも渡されない、広田友美の大量の水着写真も、残った。その写真に奈津実は笑い転げはせず、一人のときに、食い入るように見つめた。下心をそそるようなアングルから、こっそり撮った、同級生の母親を、女として撮った写真ばかりだ。地味なおばさん用水着ながら、豊満すぎる胸が盛り上がった、濡れた水着姿は、奈津実の格好のずりネタだった。
小学生の頃から、一途に想いつめる、年上の人妻の写真は、誰にも見せられない奈津実の宝物だった。
だから、写真屋にも、出せない。中学生の女の子が、年上の人妻ばかりしつこく狙った写真なんて、プロの写真屋には、その意図は丸わかりだろう。現像は、もっぱら写真クラブの現像室で、自分で、した。
いまは、年上の女の豊かな胸肉も、草むらのあわいの、肉のわだちも、みんなみんな実物を手にしている、奈津実だった。写真だけでは、けっしてうかがい知ることの出来なかった、究極の友美も、この目と舌でしっかり、味わっている。
岡本さつきみたいな、青臭い娘は、奈津実の関心外なのである。
誰が、あんなバカ娘の写真なんて、撮るか!
奈津実は、思い出して、また、むかむかして、家路に、ついている。
この腹の収まりは、このままでは、つかない。自分のオンナに電話しよう、そう思いついて、奈津実がケータイを取り出そうとした瞬間に、後ろから、肩を叩かれて、びっくりした。
息せき切って、追いついてきた、岡本さつきであった。
「怒らせた? さっきは、ごめん。そんなつもりじゃ、なかったんだ」
「うん、いいよ、わかってる」心とは、裏腹に、奈津実は応えた。
「あんな、写真撮られて、動転してた。ごめん」
「うん、見てないけど、ヘンな写真撮られたら、誰だって、参るよね」
「許してくれる?」
「ったりめえだよ」いつもの奈津実に戻って、にっこり笑った。
岡本さつきとは、交差点で別れた。
駅前のほうに向かったさつきは、由香里、くるみとマックで待ち合わせていて、それぞれラブホの相手の男たちを呼び出して、何か事情を知っていないか、問いただすつもりだという。
じゃあ、由香里は当分の時間、家には帰らないな。
奈津実は、思わずニヤニヤして、由香里の母親に、ケータイを、かけた。
ケータイに出た、広田友美は、近くのスーパーで、夕食の買い物をしているという。
奈津実は、ケータイを切ると、そのスーパーに、向かった。駅とは、反対の方角である。
(続く)
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とりあえず、一緒にラブホに行った、広田由香里、富沢くるみたちと、相談しなくては。彼女たちのいるところは、わかっている。
彼女たちは、いまや、問題の、といっていい、親善サッカー試合の世話係を務めた縁で、女子サッカー部の客分扱いになっている。女子サッカー部の部室で、だらだらだべっているはずだ。もちろん、当の女子サッカー部の連中は、部室を空にして、練習に汗を流している。
さつきは、どたどた、足音も荒く、女子サッカーの部室を目指した。日ごろ、男の前では科を作っているさつきが、荒々しく歩くのを見て、通りすがりの男子が目を丸くした。
ノックもせずに、部室のドアを開けると、それまでにぎやかにおしゃべりを楽しんでいた同級生たちが、いっせいに押し黙って、さつきのほうを見た。
広田由香里、富沢くるみ、それに相田真美、谷内奈津実もいる。もう一人女子サッカー部員ながら、いまは足にギブスをはめている倉田しほりも、いた。
「担任の、話って、なんだったの?」と、由香里が聞いてきた。みんなも、興味津々の顔つきでさつきを、見た。
「それがさあ、信じられない話でさあ」
さつきは、手近の壊れかけの椅子に座ると、せききって詳しい話を、した。
一言、一言しゃべるたびに、みんなは悲鳴のように、叫んだ。
「なに、それ、信じられなーい!」
「いったい、誰が、そんな写真っ!」
日ごろは、クールな谷内奈津実すら、大騒ぎした。
話が一段落すると、広田由香里が、聞いてきた。
「それで、あたしらの写真は、なかったの」
「由香里のもくるみのも、なかった。あたしと、田村っちの、だけ。なんで、ねえ、なんで」
「ちきしょー」倉田しほりは、自分の足のギブスを撫ぜながら、「その試合で、あたし、怪我しただろ。そんな日に、田村っちなんて食いまくるから、罰が当たったんだよ」
「いいから、しほりは、黙ってな。ホントに、あたしや、由香里の写真は、なかったのね」
「なかったよ」
「何で、さつきだけ、撮られてたのかな」クールな奈津実が考え込む。
「さつき、恨まれてんじゃねーの」
「黙れ、しほり。何で、あたしが、恨まれるのよ」
「いろいろ、あんじゃねえの」しほりは、ニヤニヤする。名前に似合わない、<巨漢>娘だ。「聞いてるよ、さつきにオトコ取られた話とかさあ、一回やっただけで、ポイ捨てされた男子の話とかさあ」
「黙れ、しほり」
たしかに、一回やっただけで、あまりの祖珍オトコとか、弱々しく腰を振るヤツだとか、テクのない童貞男には、おさらばした。それは、何人か、いる。しかし、それで、恨まれたら、たまらない。
「まあ、それはそれとしてさ、写真撮ったヤツに、心当たりはないん?」
「少なくとも、あたしやくるみは、一緒にいて、さつきより先にラブホに入ったんだから、違うよねっ」
「あたしは、午前中にケガして、午後は病院だしぃ」
「あたしは、しほりの付き添いで、病院にいたしぃ」と、相田真美。
四人の少女が、いっせいに、谷内奈津実を、見た。
「な、な、なんだよ。オレかよ!??」
由香里が笑った。「冗談よ」
しほりがにやりとした。「でも、こん中じゃ、奈津実、あんただけだよ。アリバイないのわさ」
「ジョ、冗談じゃねえよ。応援行かなかったからって、ヘンな仕返し、すんなよ。だいたいさ、一緒にラブホ行かなかった奴らなんて、この学校だけでも、何百人も、いんだろ」
由香里が笑いながら、「だから、冗談よ。でも、マジな話さ、あの日、奈津実は、どうしてたの。オトコとデート?」
「ああ」奈津実は顔を、真っ赤にした。
「やー、赤くなった。奥手なお前も、とうとうハメ狂ったのか、奈津実」
「黙れ、しほり。映画、見てたんだよ」
「えー、どんな映画? クッキーの映画?」
相田真美は、いま少女たちに大人気の、クッキーという愛称の美少年アイドルの大ファンだ。
「ち、ちげぇよ」
谷内奈津実は、真っ赤な顔で、びびった。
見た映画の名前は、言う訳にはいかないのだ。
女子高生なら、まず食欲が湧かない、大人向けの恋愛映画だからだ。
題名を言ったら、若い娘が、何でそんな、ババアくさい渋い映画を見る羽目になったか、その理由も追求されるに違いない。
「デートの相手」が「年上の人妻」で、「その女の趣味に合わせた」とは、絶対に、言えない。
特に、その、自分のモノにした、年上の人妻の、娘である、広田由香里には、口が裂けても、いえない。
おしゃべりな友美のことだ。由香里に「お友達と映画を見に行ったの。よかったわー」などと、思わず口をすべらしているかもしれない。
あの、おしゃべりで、あけすけな友美のことだ。あの映画、見たいなあ、と娘の由香里に話しただろうし、見た後は、こんな映画を「お友達」と見たのよー、よかったわー、と由香里に自慢して、由香里の顰蹙を買っているに違いないのだ。いかに母親のおしゃべりに無関心な由香里とはいえ、映画のタイトルくらいには、引っ掛かりを持って、記憶の底を探りかねない。
まずい。絶対に、まずい。
こんなときでも、奈津実は、由香里の母のことを思い出すと、あの、広田友美の豊満な肢体を、想った。
あの、極上の胸の双球に、むしゃぶりつきたくなって、あそこが、疼いて、さらに、顔が真っ赤になった。
「やー、真っ赤っか。映画じゃねえだろ。ハメ倒されただろ、奈津実」
「黙れ、しほり」ハメ倒したのは、あたしのほうだよ。
「あ、そういえば」岡本さつきが、「奈津実、中坊のとき、写真クラブだったろ。写真撮りまくってたよね」
「な、な、なんだよ、今度はっ」
「カメラ小僧で、結構いい写真、撮ってた。あたしのことを隠し撮りした写真、プロ並みに、撮れてた」
「ざけんなよ。おいらクラスのテクなんて、ざらにあんだろ。さつき、てめえ、オレにけんか売るつもりかっ」
まあまあ、とみんなが、取り直してくれた。
しらけて、散会になった。ふてた、奈津実は、みなを振り切って、真っ先に部室を出た。
中学のとき、谷内奈津実は、写真クラブに、入った。そのわけは、こうである。
奈津実は、男の子のカメラ小僧並みに、写真に、熱中した。
そうなると、運動会とか、修学旅行とか、宿泊学習とか、自然にクラスの写真係になった。
奈津実は、ありとあらゆる機会に、写真を撮りまくった。中学の卒業アルバムの、クラスメートのスナップは、大半が奈津実の撮った写真だったりした。写真をあたりかまわず撮りまくる奈津実の姿は、クラスメートや、その親たちにも、自然な姿となり、誰も違和感を感じないようにまで、なった。
奈津実は、その卒業アルバムとは別の、手製のアルバムを隠し持っている。
運動会や、内輪のピクニックのときなど、広田由香里を撮るふりをして、その母親を映した写真ばかりで構成された、秘蔵アルバムである。
もちろん、由香里単独や、母娘ツーショットの写真もちゃんと撮って、由香里に渡している。由香里は感謝して、自分のアルバムに、大切に張った。由香里が知らないことは、たとえば母娘ツーショットの写真を撮ってくれた奈津実が、その後すばやく二枚目を撮って、それには自分の母しか映っていないことや、母親のみを映した大量の写真が、奈津実の手に存在していることである。
みんなで海に行ったときなど、奈津実は、自分は、今日いきなり生理になったからと、自身は水に入らず、笑いながら、オレはシノヤマキシンだぜぃ、おらおら、みんな、頼むぜぇセクシーポーズでキメろよなあ、陽気にはしゃいで、みんなの写真を撮りまくった。
それらの写真は現像されて、みんなにわたり、みんなの思い出となった。
もちろん、ふつうのアングルから撮った広田友美の、ふつうの写真は、由香里に渡した。渡しながら、そのころころした母親の豊満な写真を見て、二人の少女は、笑い転げた。
同時に、誰にも渡されない、広田友美の大量の水着写真も、残った。その写真に奈津実は笑い転げはせず、一人のときに、食い入るように見つめた。下心をそそるようなアングルから、こっそり撮った、同級生の母親を、女として撮った写真ばかりだ。地味なおばさん用水着ながら、豊満すぎる胸が盛り上がった、濡れた水着姿は、奈津実の格好のずりネタだった。
小学生の頃から、一途に想いつめる、年上の人妻の写真は、誰にも見せられない奈津実の宝物だった。
だから、写真屋にも、出せない。中学生の女の子が、年上の人妻ばかりしつこく狙った写真なんて、プロの写真屋には、その意図は丸わかりだろう。現像は、もっぱら写真クラブの現像室で、自分で、した。
いまは、年上の女の豊かな胸肉も、草むらのあわいの、肉のわだちも、みんなみんな実物を手にしている、奈津実だった。写真だけでは、けっしてうかがい知ることの出来なかった、究極の友美も、この目と舌でしっかり、味わっている。
岡本さつきみたいな、青臭い娘は、奈津実の関心外なのである。
誰が、あんなバカ娘の写真なんて、撮るか!
奈津実は、思い出して、また、むかむかして、家路に、ついている。
この腹の収まりは、このままでは、つかない。自分のオンナに電話しよう、そう思いついて、奈津実がケータイを取り出そうとした瞬間に、後ろから、肩を叩かれて、びっくりした。
息せき切って、追いついてきた、岡本さつきであった。
「怒らせた? さっきは、ごめん。そんなつもりじゃ、なかったんだ」
「うん、いいよ、わかってる」心とは、裏腹に、奈津実は応えた。
「あんな、写真撮られて、動転してた。ごめん」
「うん、見てないけど、ヘンな写真撮られたら、誰だって、参るよね」
「許してくれる?」
「ったりめえだよ」いつもの奈津実に戻って、にっこり笑った。
岡本さつきとは、交差点で別れた。
駅前のほうに向かったさつきは、由香里、くるみとマックで待ち合わせていて、それぞれラブホの相手の男たちを呼び出して、何か事情を知っていないか、問いただすつもりだという。
じゃあ、由香里は当分の時間、家には帰らないな。
奈津実は、思わずニヤニヤして、由香里の母親に、ケータイを、かけた。
ケータイに出た、広田友美は、近くのスーパーで、夕食の買い物をしているという。
奈津実は、ケータイを切ると、そのスーパーに、向かった。駅とは、反対の方角である。
(続く)

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